増加する潜在保育士、人数や辞める理由、復帰への課題とは

  1. ジョブモールトップ
  2. コラム一覧
  3. 増加する潜在保育士、人数や辞める理由、復帰への課題とは

増加する潜在保育士、人数や辞める理由、復帰への課題とは

近年では待機児童問題の解消にあたり、保育施設が新設されている地域があります。その一方、労働力人口減少のあおりを受け、保育士人員の確保が難しい施設があるのも実情です。さらに保育士の資格を保有しつつ、実際に保育士として働いていない方も少なくありません。
今回は「潜在保育士」にスポットを当て、実際の人数や辞めてしまう理由、復職への課題について解説します。

潜在保育士とは?実際の人数について

ここでは、潜在保育士という言葉についてご紹介します。具体的にどういった人を指すのか、現在国内にどれくらいの潜在保育士がいるのかを見ていきましょう。

潜在保育士とは?2パターンを解説

潜在保育士とは、保育士資格を有しているものの、現在保育士として働いていない人のことをいいます。潜在保育士は以下の2種類があります。

・保育士資格があり勤務経験はあるものの、現在は離職もしくは別の仕事をしている
・保育士資格はあるものの、実際に保育士としての勤務経験がない

潜在保育士は実際にどれくらいいるの?

国家資格である保育士資格を持ちながらも、実際に就業していない潜在保育士。厚生労働省がまとめたデータによれば、2014年時点で国内に約77万人もの潜在保育士が存在するとのことです。
(出典:厚生労働省|「保護者に対する支援」及び「職員の資質向上」資料

データによれば、2006年には潜在保育士が37万人だったのに対し、その数は年々増加傾向にあり、2014年には潜在保育士が2倍以上にも増えた背景にはどのような事情があるのでしょうか?

潜在保育士が離職した理由とは

ここでは、実際に保育士として働いたことがあるものの、離職後になぜ復職しなかったのか、その理由について下記資料を参照しながら見ていきましょう。
(参照:厚生労働省|保育人材確保のための『魅力ある職場づくり』に向けて

賃金面で希望に合わない

厚生労働省がまとめたデータによれば、2016年における保育士の平均年収は326万8千円です。全職種で見た平均年収は489万9千円であり、他の職種から見ても賃金面で不満を感じる人は少なくないでしょう。
賃金面での希望に合わず、離職して別の職種に就く人が多いです。
(参照:厚生労働省|保育士の平均賃金

責任の重さ・事故への不安

さまざまな家庭から大切な乳幼児を預かり、保育することは大きな責任を伴います。小さな子どもだからこそ起こり得る事故へも十分な配慮が欠かせません。先述したように賃金面でも不満が残りつつ、加えて責任の重さなどから、離職してしまうという人も存在します。

自身の健康・体力への不安

乳幼児へ柔軟に対応するには、健康な体であるとともに、十分な体力も必要になってきます。何十年と保育士を続けていると、少しずつ体力面での不安を感じる人がいるのも自然なことです。結果的に、保育士を続けたい気持ちよりも、体力面が理由で離職するというケースもあります。

就業時間が希望と合わない

家庭の事情などで再就職するにも時間に限りがある場合、希望の勤務時間で働けない施設であれば復職へのハードルは高くなるでしょう。この理由は、特に家事や育児をしている女性保育士に多いようです。
また、人員的な事情で休暇がなかなか取得しにくいというケースも考えられます。

潜在保育士に対する政府の取り組み・潜在保育士の復帰への課題

待機児童問題、女性の社会進出などにも深く関連する潜在保育士の問題。政府では、保育分野に関して積極的な取り組みを続けています。ここでは、潜在保育士に関わる政府の取り組みについて紹介するとともに、復帰への課題についても考えていきます。

保育士などのキャリアアップのしくみ構築

保育士の能力に合った処遇改善として、将来的なキャリアパスを踏まえた研修の体系化を図り、キャリアアップのしくみを構築していくとされています。現場において必要な乳児保育、幼児教育、障害児保育、食育・アレルギー対応、保健衛生・安全対策、保護者支援・子育て支援の研修に加え、ミドルリーダーのためのマネジメント研修も設定されています。
潜在保育士向けには保育実践の研修が設定され、原則的には都道府県が主体となり実施されるとのことです。

保育士の子どもの預かり支援体制の推進

潜在保育士のなかには、実際に自身の子育てをしている人も多いのが実態です。現場復帰への課題には、保育士の子どもを預かる環境の整備が急務であり、政府としても支援体制を推進していく方針を打ち出しています。
保育士の子どもの優先入園に対して市町村が積極的に働きかけることや、未就学児を持つ保育士に対する保育料の一時貸付を都道府県が働きかけるなど、保育士が安心して就業できる体制の整備を政府が働きかけていくとのことです。
(参照:厚生労働省|保育分野の現状と取組について

各地で潜在保育士の力が求められています

さまざまな事情から、実際に働くことなく保育士資格のみ保有している人々も数多く存在します。一方で、各地・各施設では保育士の力を求めています。
保育士は国家資格であり、誰にでもなれる職業ではありません。貴重な資格を活かし、社会に貢献するという意味でも、保育士のお仕事は大変魅力的です。今後、保育士が働きやすい環境の早急な整備が望まれます。

保育士のお仕事を探すなら、ジョブモールで!

ジョブモールでは保育士の求人を多く掲載しているので、ぜひチェックしてみてください。